Lens-free Imager

Posted by: lesser

Lens-free Imager(LFI)は、レンズを必要としない顕微鏡です。レーザー光をサンプルに照射し、通過した光と、回折した光の干渉をカメラセンサーで捉えて、計算によってサンプルの状態を画像化します。デジタルホログラフィの応用です。

20年以上前から研究されているテーマですが、これまではカメラセンサーとコンピュータの性能が十分ではなく、実用レベルの性能を持ったシステムを作ることが出来ませんでした。スマートフォン用のピクセルピッチが小さくて画素数が多いセンサーと、コンピュータの性能の向上によって、必要十分な性能を実現出来るようになりました。血液や細胞の検査、透明な工業用素材の検査などが実用的なアプリケーションとして考えられています。

上の画像は、光学機器の評価でよく使われるUSAF-1951テストターゲットをLFIで撮影したものです。中央がカメラセンサーが捉えた画像で、右が計算処理(リコンストラクション)をした画像です。ぼやけていた文字やバーの輪郭がくっきりとわかるようになりました。(小さな粒はターゲットとセンサーの上にのっているホコリです。)

撮影したサンプル

スギ花粉 : 特徴的な突起があるのが確認できます。
牛の受精卵 : 胚の分割が進んでいるのが観察できます。